2024 11,23 19:35 |
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2000 02,20 17:32 |
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「君が―――怜野レイ君、だね?」
レイノレイ。 一拍遅れて、その名前が自分の名前であることを思い出した。 ――イントネーションが違うだけで人間は別人になれるんだな。 一瞬自分の名前だと気付かなかった理由に思い至って、胸中でそう妙に感心した。それは、普段聞きなれている発音と、あまりにもかけ離れていた。 誰だこいつら。 一回そう思ってからまた名前について思う。 ――我ながら、変な名前だ。 名乗らなければそう不自然でもない。 「怜野レイ君で間違いないね」 疑問形なのに断定しているように聞こえる。 なんでだろ。 怜野はなおも考えていたが急に面倒くさくなってきたので適当にまとめた。 ――つまり俺に絡んでくる怪しい奴らがいる。 「怜野君。我々と一緒に来てもらおうか。」 またもやあの奇妙な発音で名前を呼ばれる。 流石に飽きてきたなぁ。 まるで珍しいものを見る視線で、これっぽっちの遠慮もなく男たちをじろじろと眺めまわす青年に、男たちは何を思ったのか。 「Who are you ?」 からかうような言葉だが、その表情は相変わらずだるそうで、笑みのひとつも溢さない。 ――ああ、ああ、なんて面倒そうな連中だ! 「来れば分かる」 その丁寧だけれど高圧的な態度。 「行かなかったら?」 もし絵に描いたような悪役なら、言うことは大体決まってる。 「君に拒否権はない。力ずくでも来てもらおう。」 へえ。ここまでお約束どおりだと夢かと疑いたくなる。 「逃げるが勝ち?」 何の前触れもなく走り出す。 本気でアニメとかのストーリーと同じだ。とくにあいつらのセリフが。 「ふざけてるなー世の中」 意味不明なことをつぶやきながら近くの路地へと入る。 ああ、なんか俺の逃げ方までお約束だ。 んーむ。
「いたぞ!追えっ」 今からそっちに行くって。 頬を何かがかすめていった。 「頭は狙うな!」 へえ、とりあえず殺されはしないか。 怜野の動きがさらに加速し、淡い苔色の双眸がわずかに細められた。
あ。 やっと見つけた。 ふと怜野は、男たちの表情が気になった。 き、お、つ、け、ろ、こ、い、つ、は、せ、い、こ、う、た、い、だ、ぞ。 ―――「気をつけろこいつは成功体だぞ」? 何だ知ってんのか。 そう思いつつも一番近い男の側頭部を蹴り飛ばす。 まぁ死にはしないだろと無責任なことをつぶやきながら銃を構えている男に肉薄する。銃を構えている男は即座に銃を向け発砲しようとするが、怜野の目にはひどく出来の悪いスローモーションとしかうつらない。 男がガードする暇もなく怜野のひざ蹴りが男の眼前に迫る。 めしゃりという何かがつぶれるような音に残った男たちが背筋を冷たくし、反撃に出ようとして銃をむけたときにはあごの下から強烈な蹴りをくらい、首の後ろにかかと落としを打ち込まれ――― 「終了っと」 男達は完全にノックアウトされ、アスファルトとの望まぬ抱擁を余儀なくされた。 PR |
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